LINEで日報を受け取っている軽貨物の事業者は、LINEに届いた日報をAIに貼り付けて一覧表に整理するところから始めると、日報の「漏れ」と勤怠の確認が楽になります。専用の仕組みを作らなくても、コピーと貼り付けだけで試せます。この記事では、その手順と、注意しておきたい点を説明します。

この記事は、軽貨物の現場でよく聞く悩み(日報の漏れ、勤怠管理)をもとに書いています。実際の運用は事業者ごとに違うので、ご自身の運用に合わせて調整してください。

日報が「LINE」だと起こりやすいこと

日報をLINEで受け取る形は、ドライバーにとって手軽で、続けやすい方法です。一方で、受け取る側には、次のような悩みが出やすくなります。

  • 日報がトークの中に流れてしまい、誰が出して誰が出していないか、すぐに分からない
  • 書き方が人によって違い、あとで集計しにくい
  • 出勤・退勤の時間を、日報から拾い直す手間がかかる

実際に、「日報の漏れ」と「勤怠管理」が、よく聞く困りごとです。

AIでできる3つのこと

1. 日報の書き方をそろえる(テンプレート)

先に、日報の書式を決めておくと、あとの整理が楽になります。

日報テンプレートの例
日付:
名前:
稼働時間:◯時〜◯時
配達件数:
経費:(内容と金額。例:高速代 ◯◯円、ガソリン代 ◯◯円)
気になったこと:

AIには、「この項目で日報テンプレートを作ってください」と頼めば、わかりやすい書式を提案してもらえます。

2. 1日分の日報を、一覧表にまとめる

LINEに届いた1日分の日報を、まとめてコピーして、AIに貼り付けます。「名前・稼働時間・配達件数・経費を、表にしてください」と頼めば、一覧表にしてくれます。

3. 出していない人を見つける

ドライバーの名簿を一緒に渡して、「日報を出していない人を教えてください」と頼みます。これで、提出漏れの確認が早くなります。

はじめ方(コピーと貼り付けで十分)

図1 コピーと貼り付けだけで、まず試せます
図1 コピーと貼り付けだけで、まず試せます
  1. 日報のテンプレートを決めて、ドライバーに伝える
  2. 1日の終わりに、その日の日報をLINEからコピーする
  3. AIに貼り付けて、一覧表にしてもらう
  4. 名簿と照らし合わせて、出していない人を確認する
  5. 内容に誤りがないか、人が目で見て確認する

LINEとAIを自動でつなぐ方法もありますが、最初は手作業のコピーで試すのがおすすめです。うまくいくかどうかを確かめてから、自動化を考えても遅くありません。

日報が続く「書式」のつくり方

日報の漏れは、ドライバーのやる気だけの問題ではありません。書くのが面倒だと、続かないからです。書式を決めるときは、次の点を意識してみてください。

  • 項目は少なく。 多くても5〜6項目にします。書く側が負担に感じない量が目安です。
  • 選ぶだけ、数字だけで済む項目を増やす。 「配達件数:◯件」のように、文章を書かなくてよい項目にします。
  • 経費の書き方を決める。 「高速代 ◯◯円」「ガソリン代 ◯◯円」「駐車場代 ◯◯円」のように、項目名と金額をセットで1行にすると、あとで集計しやすくなります。
  • 送る時間を決める。 「その日の稼働が終わったら、すぐ」など、ルールを一言で決めておきます。

AIへの依頼文の例

LINEの日報を貼り付けるときは、何を、どんな形にしてほしいかを、はっきり書きます。

一覧表にするときの依頼文の例
次は、ドライバーから届いた1日分の日報です。「日付・名前・稼働時間・配達件数・経費」の列がある表にしてください。書かれていない項目は「記載なし」としてください。文章にない数字は、作らないでください。
提出漏れを確認するときの依頼文の例
先ほどの表の「名前」と、下のドライバー名簿を照らし合わせて、日報を出していない人を教えてください。名簿:(ここに名簿を貼る)

「文章にない数字は、作らないでください」の一文が大切です。AIは、情報が足りないと、もっともらしい数字を作ってしまうことがあるためです。

提出漏れを減らすための工夫

AIで漏れを見つけるのは、「早く気づく」ための方法です。そもそも漏れにくくするために、次のような工夫も合わせると効果が上がります。

  • リマインドを決まった時間に送る。 たとえば、1日の終わりに「本日の日報をお願いします」と一言送ります。この文面も、AIに下書きを頼めます。
  • 漏れていた人に、責める言い方をしない。 「昨日の日報が未提出でした。お手数ですが、◯日までにお願いします」のように、お願いの形にします。
  • 漏れの理由を聞く。 「書き方が分からない」「忘れた」など、理由によって、書式や連絡の仕方を直せます。
リマインド文面の例(下書き)
◯◯さん、お疲れさまです。本日の日報がまだ届いていないようです。お手すきのときに、稼働時間・配達件数・経費をお送りください。よろしくお願いします。

経費の整理に、AIをどう使うか

日報に経費の項目を入れると、「あとから拾い直す」手間が減ります。AIには、次のような整理を頼めます。

  • 日報に書かれた経費を、「高速代」「ガソリン代」「駐車場代」「その他」のように分類して、一覧にする
  • 1か月分を、ドライバーごと・項目ごとに集計する

ただし、金額の合計は、必ず人が見直します。また、経費として認められるかどうか、精算のルール、税金の扱いは、事業者ごと・働き方ごとに違います。判断が必要な部分は、税理士などの専門家に確認してください。

気をつけたい4つのこと

  1. 個人情報の扱い。 トークの内容には、ドライバーのお名前や、配達先に関する情報が含まれることがあります。AIに貼る前に、配達先の住所やお客様の名前は消しておきます。
  2. AIの集計は、間違うことがある。 件数、時間、経費の合計は、必ず人が見直してください。給与や報酬、精算に関わる数字は特に注意が必要です。
  3. 勤怠の扱いは、働き方で違う。 ドライバーが従業員か、業務委託かによって、労働時間の管理のルールは変わります。ルールや法律にかかわる判断は、AIではなく、社会保険労務士などの専門家に確認してください。
  4. 監視のようにならない配慮。 日報の目的は、仕事を楽にすることです。ドライバーに、何のために集めるのかを、先に伝えておくと、協力を得やすくなります。

1か月で、うまくいっているか確かめる

始める前と後で、次の数字を記録して比べると、効果が分かります。

記録すること 見かた
日報の提出漏れが、1か月で何回あったか 始める前より減ったか
集計にかかった時間 始める前より短くなったか
経費の入力ミスや、聞き直しの回数 始める前より減ったか
ドライバーの声 書きにくい項目はないか

数字が動かなかったときは、書式を見直すところから始めます。AIの使い方より、書式やルールが原因のことが多いからです。

よくある質問

Q. ドライバーが、AIを使うことをいやがらないでしょうか?

ドライバーに、AIを使ってもらう必要はありません。日報を受け取って整理するのは、事業者側の作業です。ドライバーには、これまでどおりLINEで送ってもらい、書式だけそろえてもらいます。

Q. LINEの内容を、そのままAIに貼ってもよいですか?

そのままは、おすすめしません。配達先の住所や、お客様のお名前が含まれていないか確認し、含まれていたら消してから貼ります。ドライバーの名前も、「A」「B」のような記号に置きかえる方法があります。

Q. 自動でつなぐ方法はありませんか?

あります。ただ、最初から作ると、手間も費用もかかります。まずはコピーと貼り付けで1か月試し、効果が見えてから、自動化を考えるほうが失敗しにくいです。

Q. 勤怠の管理は、AIに任せられますか?

日報から稼働時間を拾って表にする作業は、AIが手伝えます。ただし、労働時間として扱うかどうか、どう記録するかは、働き方(従業員か、業務委託か)によって変わります。その判断は、社会保険労務士などの専門家に確認してください。

まとめ

  • LINEの日報は、コピーしてAIに貼るだけで、一覧表にできる
  • 先に日報の書式をそろえると、集計がうまくいく
  • 名簿と照らし合わせれば、提出漏れを見つけやすい
  • 個人情報の扱いと、勤怠のルールは、人が・専門家が判断する

自社の運用に合わせて、どこからAIを入れるのがよいか。AnotherWorld株式会社のAI顧問サービスでは、現場の流れをお聞きして、最初の1つを一緒に選びます。

AI顧問サービスの詳細はこちら ▶

関連記事:生成AIを使うときの社内ルールの作り方